「竜樹理事長になったんだね。」
「はい、ここは祖父から続く学校なんです。みんなには言ってなかったけど」
そっか
だから頭もよかったんだね
竜樹はあたしよりも6つ年上
でも、あたしの方が立場が上だから敬語
「ってかもう敬語じゃなくていいのに、あたしに縛られなくていいんだよ?」
「もう癖なんで、桜さんに会うとつい敬語になっちゃうんですよ」
茶色のパーマをかけた髪を照れくさそうにかきながら笑う顔は相変わらず年上に見えないほど、童顔
「そっか」
「ちゃんと見てましたよ?桜さんのがんばり、実現おめでとうございます。」
「ありがとう、だからしばらく休暇を取ってこの街に来たんだよ」
「どれくらい居るんですか?」
「本当は一ヶ月入れればいいやって思ってたんだけど、
あたしが滅多に休暇を取らないから社員が心配して
『社長がいなくても、半年、、、いや1年は大丈夫です。』
なんて自信満々に言うもんだから1年もらった。
ただ怖いから
随時、報告だけは怠るなとお灸を添えてきた。」
そう、あたしは社長になった。
勉強もせずサボってばっかりだったあたしは、死にもの狂いで経済学から一般常識まで猛勉強した。
そして1年前
おもちゃ会社を設立した。
最初はなかなか軌道に乗らず挫けそうになったときもあった
けど、
今はどこのおもちゃ売り場にも並んでいるような有名な会社にまで発展した。


