「・・・なんとなくね、わかってたよ。桜がなにか抱えてるのでもあたしも踏み込む勇気無くて、だからこうやってぶつかれてよかったって思ってる。・・・玲慈のこともまだ話せないこと?」
「・・・わからない。あたしの心にはみんなと会う前からある人が全て占領してた。あたしはその存在があったから今まで振り返らず前だけをみて、歩いてきた。
・・・でも、玲慈とあって少しずつ変わり始めてるものがあるって気づいた。」
「・・それって」
「わかってる!!でも認めたくないの、少しずつ大きくなる玲慈に対しての気持ち、でも!それに対してあいつへの気持ちが無くなってしまうみたいで、変わるのが怖いの。」
今までのあたしは風雅が中心だった
心には風雅が居た
心であいつは生きてた
でもそんな世界が、
止まってた世界が、玲慈とあって動き始めてしまった。
動き出した世界をあたしには止められなくて
認めてしまえば、楽だけどそれは逃げなような気がして・・・。
「・・・桜、それは違う。誰かわからないけど今の桜があるのはその人のおかげなんでしょ?それは玲慈の知らない桜だけの過去。過去は過去のまま消えない、気持ちはなくならないよ。でもね、変わらない物なんて無い、変化を受け入れていくことで人は成長する。桜は変わるのが怖いって言ったけど今の桜は昔のままなの?考え方も何もかも変わっていないの?」
・・・変わった
昔の当たり前が今は通用しないって知った
昔の自分が馬鹿だなって振り返ることができるようになった
「・・・あたし変わった?」
「あたし達は昔の桜と今の桜を比べる手段はない、でも、知らぬ間に人は変わっているものなんだよ」


