△心奈サイド
桜ちゃん・・・不思議な人
あの、憧れの玲慈様の傍にいて最初は羨ましいとただ思った。
桜ちゃんと、お近づきになれば、玲慈様に会えるんじゃないか、そんな下心で近づいた。
・・・だけど、近づいてみてわかったことがある。
たった一日しか一緒には居なかったけど。
桜ちゃんは、とっても芯の強い女性だってこと
お父様に守られ、陰に隠れていた私とは違う
堂々と自分の意見を言えて、真っ直ぐな人
そして、桜ちゃんを見る玲慈様の眼差し・・・。
「心奈ちゃん、なんで俺に送りを頼んだの?」
はっとして隣を歩いている玲慈さんを見る。
バイクを持ってきていない玲慈さんは私を、歩きで送ってくださっている。
「それは・・・」
「俺に言いたいことあるんじゃない?」
「・・・気づいていらしたんですね」
「これでも、族の頭だからな、敏感なんだ」
そう、玲慈様は族の総長
いつも遠くから見ていた。
クールな印象、無口と勝手に決めつけていた。
でも、今は違う、
話せば答えてくれる、今も何も言わず道路側を歩いてくださっている。
とても気の利くお方
「・・・・・・玲慈さんは、桜ちゃんが好きなんですね」
「・・・あぁ、心奈ちゃんにも気づかれていたか」
「えぇ、あんな眼差しで見つめていらっしゃるんですもの」
桜ちゃんを見る玲慈さんの眼差し・・・それは、いとおしい人を見る眼差し
「きっと、気づいていないのは桜ちゃんだけですわ」
「だよな、桜って鋭いようで鈍感なんだよな」
あれで気づかない桜ちゃんって・・・。


