「立てる?」
ずいぶんやられちゃったみたいね
骨は折れてないけど打撲と擦り傷だらけ
腕にある擦り傷はちょっと深いみたい、まだ血が止まってない
でも、拳は綺麗
「殴り返せなかったの?」
「違う、殴らなかっただけ」
「なんで?」
「意味ないから、ただぶつかっただけだし」
それだけでこんなにまで殴られなきゃいけないの?
「ふーん」
ポケットに入ってたハンカチを
未だ血が止まらない腕の傷に巻く
「おい!なにしてんの?汚れるからやめろよ」
「なにいってるの?ハンカチは汚れるものよ?」
お互い無言で
少年はあたしをみて
あたしは少年の腕を見つめる
「ねぇ、少年あんた家近いの?」


