「はぁ…どうすりゃいいんだよ、これ。」



薄暗い空間で、目の前の状況を見て溜め息をつきながら頭を抱えている人物が1人。


癒鼬組から消えた蘇芽だ。


蘇芽の目の前には、気を失っている子供が1人。


そう、春貴だ。


目撃情報通り、春貴は蘇芽の後を追い掛けていたのだ。

何故かというと、歩いていた蘇芽が白い粉が入った小袋を落とした。

それを見ていた通学途中の春貴は、届けようと追い掛けたのだ。


ただ、両者には距離があり、蘇芽が早足で歩いていたこともあり春貴が走っても追い付けなかった。


倉庫街に来て歩くスピードを落とした蘇芽に、見失うことなく追い掛け続けた春貴は小袋を蘇芽に差し出した。



ところが、差し出された小袋に驚いた蘇芽が勢いあまって春貴の首を絞めてしまった。


しかし、蘇芽は何かを思い出したのか途中で手の力を緩めた為、春貴は気を失うだけで済んだのだ。



とりあえず倉庫に運んだはいいものの、春貴をどうするか決めかねていた。



「まだ殺ってないし、とにかく俺じゃ上手くやれない。」



蘇芽はそう呟くと、倉庫を出てどこかへ電話をかけ始めた。