「お連れしました。」



案内された客間と思われる部屋の開けられた襖の先に居たのは、捜査資料にあった写真で見た御方龍臣その人。


その隣には元渋鷺組の構成員で今は癒鼬組の若頭兼参謀、烏田切芹檜(オダギリ セリヒ)が控えていた。


いかにも暴力団という強面の御方と眼鏡をかけインテリな雰囲気の烏田切との、なんともミスマッチな光景である。




「ノブもう下がっていいですよ。どうぞ、お掛け下さい。」



「はい、失礼します。」



ノブと呼ばれた男、蘇芽宣彦(ソガ ノブヒコ)は一礼して行ってしまった。


到底暴力団とは思えないほど柔らかな口調で烏田切は2人に席を勧める。



「捜査一課の志麻だ。」


「同じく瀬羅です。」




「わざわざ一課の刑事さんが俺に一体何の用で?」



「扇崎吉信という男を知っていますね?」


「扇崎…?」


「昨日、河川敷で何者かに殺害されました。数日前、ここに出入りしていたとの情報がありましてその件でお話を伺いに。」