志麻と瀬羅が気が重い理由……
それは……



今の時代、表立って衝突は無くとも刑事課と組対の縄張り争いは存在する。



薬関係と殺人と同時に発生した場合、どうしても殺人の捜査が優先され一課の手柄になる傾向がある。


組対の面々は、命令に従うもののいい顔はしない。


命令に従うのも、あくまで表面上の事である。


なので、直接命令出来る立場に無く、でも現場で一課の一番上になる志麻は胃が痛くなる。



「はぁ~悩んでも仕方がない…部長に応援要請の許可もらってこい。」


「分かりました。」



志麻は捜査員の一人に指示を出し、全体を見渡す。



「じゃあ各自、シャブの出所と害者の足取り、目撃者の捜索を頼む。」



「「「了解!!」」」



「瀬羅は俺と遺族の元に行くぞ。結灰の仲間から話は通ってるだろうから。」


「はい!」




各々捜査を開始した。