病院 外駐車場―――




煌が助手席のドアの前で佇んでいる。



キーは隼弥が持っているので、早く開けようと駆け足で近付いていくと、煌の左手が強く握られたまま震えている事に気付いて足が止まる。


顔は影になっていて表情までは見えない。


「結灰……」


呟く様に隼弥が言うと、聞こえたのか煌はハッとして隼弥の方を向くがすぐに視線を反らす。


「早く戻るぞ。鍵、開けろ。」


急かす煌に対して隼弥は動かない。



「おい、隼弥!早く「なぁ…、泣きたかったら泣けばいいじゃん。なんで我慢なんかするんだよ。一人で抱え込もうとするんだよ!そんな辛そうな顔見たくねぇんだよ!」


「隼弥……」



「俺じゃ駄目か?役に立たないか?腕は弱ぇけど傍に居ることは出来る。俺は結灰のことが好きだから笑っていて欲しいけど、泣きたい時は泣き止むまで泣いて欲しい。」



煌の表情に気持ちが爆発した隼弥は、息が切れるのも構わず捲し立てる様に思いをぶつける。



そして隼弥の気迫と思いに背中を押される様に、煌は静かに話始めた。




「…俺、昨日の昼休憩に呼び出されておやっさんに会ってるんだ。」