「もう終わったんで、連れていって大丈夫っスよ。」


「あ、ああ……」



今さっきの気迫はどこへやら。


一瞬にして、すっかり普段のトーンに戻った煌が、捜査員を促す。


そんな煌に、捜査員は呆気にとられていた。



「おら、行くぞ。」



捜査員に引きずられる様にして、烏田切は連行されていった。



「先輩。救急隊まだいるっスか?道具もらえれば、病院行く前に自分で応急処置できるっスから。」



何事も無かったようにサラッと言う煌に、志麻は今までの怒りが頂点に達する。



「いるが、してもらえ!まったく無茶しやがって!心臓が止まるかと思ったぞ。」


「「ほんとよ(だ)!」」



珍しく、志麻と瀬羅と隼弥の意見が一致する。



「……そ、そんなに怒るなよ。ってか先輩も血管切れるっスよ。」


「誰のせいだ、誰の!」


「わ、分かったっスから。」



志麻のもっともな返しに、煌はとりあえず落ち着かせようとする。



「救急隊です。応急処置しますから救急車へ。歩けますか?」


「大丈夫っス。」



タイミングを見計らって話し掛けてくれた救急隊と共に救急車へと移動する。