「(蘇芽は除外して、春貴はこのまま……烏田切に突っ込んだら後ろの5人の内、何人かには届くよな……)」



目で確認出来る人物の位置関係・暗い中感覚で掴んだ倉庫の構造を頭に描く。

仕掛けるのは形勢逆転の大勝負。
その為に立ち回りの予想を立てる。



「(銃押さえて奪えりゃ、なんとかなるだろ。)」



武器は拳銃だけ。後は力業で押し切る。



そう結論付けた煌は、服を掴んでいる春貴の手に自らの手を重ねる。

大丈夫だという意味を込めて強く握った後、そっと外した。



そう、大丈夫だ。

現役時代に比べればなんてことない。


今は守るものがある。
必要としてくれている人がいる。
迎えてくれる場所がある。


だから、こんな状況なんかすぐ制圧出来る。



言い聞かせて、深呼吸を1回。



蘇芽に意識がいっている烏田切に向かって駆け出した。