そんな時を動かしたのはあの人の声だった
「ひかる!お待た、せ」
その声と共に
ドクンッと心臓が高鳴った
そして手を力強く握り、後ろを振り向いた
「隼人くーん!ウェーン、痛いよう…。な、殴られた…」
泣き叫びながら隼人に駆け寄る柴崎さんの後ろ姿
嫌だ、
嫌だ…ー
隼人に近寄らないでよ
「何やってんの?」
柴崎さんは隼人に抱きつき隼人は柴崎さんの頭に手を置いた
やめて…
触んないでよ
「違う、の…」
あたしが微かな声を発したらすぐに柴崎さんの友達は喋りだした
「何が違うのよ!この子がいきなりひかるのこと殴ったの!
さいってい!暴力女!」
そんな言葉は重りのようにあたしを押し潰す
ふと隼人の顔を見上げると
やっとのことで成り立っていた弱々しい心がぐちゃぐちゃに踏み潰された
そんな目で見ないでよ…