それでこいつ等もちとせとお近づきになりたいって訳だ。


だけど気持ちを汲み取ってやる気もねぇし、協力してやろうとも思わないが。



「飯行きましょうよ~。何なら先輩のお友達も一緒に…っっ!」



喋り続ける後輩に対して一睨みする。


それが効いたのか、それ以上は縮こまって口に出さなかった。



「じゃあこいつ送っていくわ」



有無を言わさない笑みを浮かべて告げると、ちとせの手を取る。



「あ、あたしなら大丈夫だからご飯食べに行っても…」


「行くぞ」



喋る暇を与えることなくちとせを引っ張っていく。


未だ不満そうな表情をしている三人とすれ違いざまに顔を合わせると、足早に通りすぎた。


いつの間にか無意識に口角が上がっていることに気付く。


羨望のまなざしを受けて、少し優越感を感じているのかもしれない。



「ねぇ、ホントに良いの?あの人達、まだ悠斗と居たかったんじゃない?」



ちとせは眉を下げ、後ろにまだ見える後輩達を気にかける。



「良いんだよ」



どうせ居たいのは俺じゃなくてちとせの方なんだし。


しばらく無言のまま歩いていく。


そして角を曲がって後輩が見えなくなると、俺はちとせから手を離した。