俺達もそれで気になりちとせに聞いてみたりもしたが、
『先輩とあたしが?ある訳ないじゃん!』
と全く濁すことなくはっきりと言い切っていた。
「んー、付き合ってないんじゃないの? ずっと否定し続けてる訳だし。
ちとせって嘘つけないタイプじゃん?」
「まぁ、確かに…」
その言葉に納得して葵は頷く。
明の言い分は最もだ、的を得てる。
だけど葵の言うことも分かる気もするんだよなり
たまに感じてしまうから、二人の世界って奴を。
それを見たら、もう時間の問題なんじゃないかとさえ思わされる。
「仮に付き合ったとしたらあいつは俺達に話すんじゃねーの? そんなに詮索してやんなよ」
「さすが悠斗。大人対応!」
「そうか…うん。そうだね? ちとせは話してくれるよね!」
冷静に言ってはみたものの実際の自分はそうでもなかった。
これ以上ちとせと先輩のことを考えたくない、じゃないと胸がざわついて仕方がないから。
葵に集中したいのにちとせがそれをかき乱す。
あいつが無防備だから、だからほっとけないんだ。
自分の中で言い聞かせるように、そう何度も何度も繰り返した。