僕は自分を知らない。
だから、皆に見放され、一人、旅をしている。
「グゥルル」
呻き声が聞こえる。
「ん?」
見ればそこには腹を空かせた野獣がいる。
よし。
僕はそいつの目の前に立ち、両手を広げた。
「グアアアッ」
突進して来る野獣。
僕はただ立っているだけ。
その時、
ぐわぁん
「くっ・・・・ま、また・・・・」
そして闇の中へ・・・・。
「・・・・はっ!」
勢い良く起き上がる。
そして、辺りを見回す。
真っ暗だ。
真横には焚き火があり、
自分には毛布がかかっていた。
「・・・・クソッ!また、死に損なった・・・・」
地面に拳を叩きつけた。
僕は死に場所を求めている。
なのに、死ねない。
断食して餓死しようとしても、
銃で脳天ぶち抜こうとしても、
高い所から落ちて死のうとしても、
ナイフで腹を裂こうとしても、
死のうとしたときに必ず目眩がして気が付いたら寝ていたということが起こる。