A-530side

蒼は極度のお人好し。

人のために迷いの森に道を作るくらいのお人好し。

しかも、ついでって感じで。

此処まで来るときっと盗賊共に

『金を出せ!』

とか言われたら、

『どうぞ』

って渡すかも知れない。

しかも、同情の眼差しで。

あ、そこまでしないかな?

「あ、そうです。A-530」

「何だよ」

「A-530じゃなくて、別の名前考えてくれませんか?」

「はあ?」

何?突然。何言ってんの?

「A-530はあくまでも、あそこにいた時の名前です。だから、今、君は名無しなんです!
なので、この際、新しい名前を考えましょう!
ね?」

ね?って、ね?って。

キモッ

うわぁ(引)

「・・・・駄目ですか?」

「********!」

(↑不適切な発言がありました。by作者)

「え?なんですか?今のは?え?え?」

「・・・・忘れてくれ」

うん。その方が、コイツのためになる。

絶対。

「え?そうなんですか?それじゃ、忘れます。
それより・・・・」

目を輝かせる。

「名前を考えて下さい!」

・・・・。

「ん・・・・と・・・・。じゃ、紫苑(シオン)で」

頭に浮かんだ最初の言葉をそのまま口に出した。

「はい!紫苑。宜しくお願いします」

蒼がぺこりと頭を下げる。

「此方こそ。てか、敬語止めろ。堅苦しい」

蒼は少しうなった。

「・・・・よし!こんな感じ?」

「ん。そんな感じ」

そして、本当に旅が始まった。