ピエロの足にはセブンの涙と鼻水、よだれで顔の形の染みが出来ていた。

 
 ピエロは呪文を唱え、その部分を焦がした。

ピエロ
「これでお前を忘れない」

 
 セブンは港の街、赤い海猫の巣の商店街で買った黄色いノートをピエロに渡した。


ピエロ
「これは?」

セブン
「魔法の研究がしたかったって言ってたでしょ?

 だからノートを買ったんだ。

 ネズミのピエロンと一緒に稼いだお金で」

クラッシュ
「それは内調の…」
  
 クラッシュは内調の支給品を勝手に渡しおってと言いかけたが黙った。


ピエロ
「ありがとうセブン、手にピエロン乗せてみな?」

 
 セブンは手にピエロンを乗せピエロに差し出した。

 
 ピエロはハンカチを被せ、呪文を唱えハンカチをとると

 
 それまで木の色だったピエロンは顔が白く、鼻は赤く道化の色に変わっていた。


セブン
「わぁー!ピエロンがピエロみたいになった」

ピエロ
「これでお前も忘れないだろう?

 じゃあまた会おう!」

セブン
「きっとだよ!ピエロのおじちゃん!」

ピエロ
「お兄さんだっ!

 ずっとそう思ってたのか?

 結構ショックだぞ!

 じゃあクラッシュ殿、後は宜しく」

 
 ピエロはセブンの頭を撫でてトランクを持ち、朝もやの中に消えて行った。

 
 霧の中からあの唄が聞こえる。


「足痛いっ足痛いっ足痛いっなーはいっ」


セブン
「足痛いっ足痛いっ足痛いっなー」

 
 セブンは姿の見えないピエロに届くように大声で叫んだ。

クラッシュ
「なんだいそれ?」

セブン
「友達の証の唄」

 セブンは見えないピエロの姿を見送り、ピエロもまた何度も後ろを振り返った。


 ピエロは追いかけて来ないセブンの事を少し寂しく、また頼もしく感じていた。