王城正面の門に華王以下あらゆる政府関係者が集められ、

 王からの発表があるとの事で民衆は全て通りに出ていた。


 王城正門から都の正門迄の坂道と階段、防壁には群衆が立ち、

 王の声を待った。


 ざわめく観衆に王が向かうと話声は止み、巨大な都市が静まり返った。


ブレイブリー
「聞け!皆のもの!

 先日、魔法都市である眠りドラゴン城が煌皇国に襲撃され、壊滅した。


 生き残った者は少なく、多くの者を失った!」


 観衆はざわつき、泣き叫ぶ者もいた。


ブレイブリー
「長く平和を保って来たが、今回の事は容認は出来ん!

 
 また第二の魔法都市の悲劇が繰り返されない保証は無い!」


「戦おう!」

「そうだっ!戦いましょう!王よ!」

 多くの者が声を上げ出した。


ブレイブリー
「勇敢なる諸君!」

 また民衆は静まった。

ブレイブリー
「私は平和路線を進めた事を深く謝りたい。

 停戦を推し進めた事をここに謝罪する。

 しかし、もう迷いは無い!

 またこの愚王に従ってくれるのならば、

 私は徹底的に煌皇と戦う準備を行なおう!」


「おおー!」

「国王閣下万歳!」


ブレイブリー
「皆!
 力無き私に力を貸して欲しい!

 もう悲劇は繰り返してはならない!

 今ここに煌皇国との

 開戦を宣言する!

 大陸を統一させ戦争を終わらせよう!

 華よ永遠に咲き誇らん事を!」

 
 王の回りにいた戦士達は剣を抜き、文官達は民衆を煽るように叫んだ。


 群衆は熱狂し、街は冬の寒さを感じぬ程に熱く沸き上がった。

 
 謁見の間での一連の任命式と城外での演説は、後々まで華國の運命に大きく変えた分岐点と言われる。


 これより華國は守勢より攻勢に転じる事となる。