オレは本気で、出るつもりはなかった。 「はぁ───────…」 佐藤が大きなため息をついた。 佐藤は、ため息をつくことが増えたな。 そうやって、胸の中のわだかまりを外に出してるつもりか? 馬鹿だな、“つもり”じゃあだめなんだよ。 吐き出せてないんだよ。 そうやって、どんどん溜まっていくのに。 「…分かりました、今晩は仕事を早めに切り上げますので、飲みに行きましょうか。」 佐藤からそんな言葉がでるなんて、思ってもいなかった。