「…俺は、芹沢みたいに…なりたかったんだ。 そうすればきっと、父さんも…」 「…うん」 「結局俺は、《佐藤家の跡取り》でしかなくて… だからきっと、《俺》を見てくれる人なんていなくて…」 「…うん」 「そんで、俺はいつも思うんだ。 …結局のところ、俺は一人なんだ、ってな。」 「…うん」 「なぁ…芹沢」 「…うん」 「なんでさっきから『うん』しか言わないんだよ。」 「…うん、それはね」 芹沢は振り返って、涙まみれの俺を、優しく抱きしめた。