「…あ、あれ。 なんだ、これ。」 目からあふれたのが何か分からないと言うような俺の態度に、芹沢はさらに悲しそうな顔をした。 「なんで、止まんないんだよ。」 いくら拭いても、止まらない。 これが涙なんてことくらい、分かってる。 俺は芹沢の部屋を飛び出し、自分の部屋に戻った。 あの部屋に戻れば、止まると思ったから。 あの、冷たい部屋に。