芹沢side


「嫌だ、佐藤を放ってなんかおけない!」

目の前でしゃがんでいる佐藤は、不自然な汗を大量にかいていた。

(…まずい、返事がない。
目もうつろだ、はやく処置しないと…)

バタンッ

その時、目の前で大きな音を立てて佐藤が崩れた。

「…佐藤?佐藤!!」

そこへ担架が運ばれてくる。
オレと看護師で佐藤を担架に乗せ、検査室へと運んだ。

…もし、弟のことが関係していたら。
佐藤はきっと知られたくないはずだ。

オレは他の人間をすべて部屋から追い出した。

「あの、院長は…!?」

「院長はオレが看る。
だからごめん、出てって。」

「は、はい…」

駆け寄ってきたナースにそう言うと、オレはドアを閉め、鍵をかけた。

「…佐藤、ごめん。」

ぐっしょりと汗をかいている佐藤のシャツのボタンを一つ一つ外し、上半身をはだけさせると。

「こ、れは……ッ!?」

あちこちに、紫色の痣。
なかでもわき腹の赤々とした紫色は、明らかに内出血の最中だった。

「痛み止めを、飲んでたのか…!!」

そうでもなきゃ、痛みで失神してる。

それほど傷だらけの、身体だった。