俺の腕を弟がつかみ、門の中へと引っ張る。
これでいい。
俺はその手をさりげなくはずし、自分で門の中へと足を踏み入れた。
門が少しずつしまっていく音がする。
「待って、佐藤…!!」
「…」
その声に、振り向いてしまった。
「…っ、」
それが気に入らなかったらしく、弟は振り向いた俺の肩に手を置いて、自分の方へと傾けた。
自然と弟に寄りかかる体制になってしまう。
「これ以上兄さんにちょっかいを出さないでください。
兄さんはにはもう僕という所有者がいるんです。
このオモチャは僕のだ。
…それじゃ。」
キイー…
「あ…」
門が閉まる直前、俺が見たのは佐藤の驚いた顔だった。


