佐藤side
家の門の前に着き、車を降りる。
門を開けると、そこにはアイツが立っていた。
「お帰り。」
俺はその場から動けないまま、一瞬怯む。
「た、だいま」
なんとかその言葉をひねり出した時、“弟”はニヤッと笑った。
「どこに行ってたの?
兄さん」
「どこって、」
「医局に電話しても居ないと言うし何より昨日は金曜だ。
僕が金曜の夜にしか帰れないのは知ってるよね?
まあ金曜の夜だけ家に戻ってるみたいだけど。」
「なんで知っ…」
「僕が知らないとでも思った?
それでも今までは医局に泊まっていただけだったから大目に見てやってたものを。
医局にいない?
じゃあどこで寝たの?
どこにいたの?
昨日は、何をしてたの────?」


