「…っ!」


俺はあの言葉を思い出し、飛び起きる。

アイツに言われた、あの言葉を。


芹沢が俺に回した手は、飛び起きた事によって、はじかれていた。


「…“オチコボレ”」

口に出してみる。

改めて、思い知った。

確かにアイツの言う通りなんだと。


“頭の中の殆どを僕が支配してる”
              、、、
“僕からは逃げられないよ、兄さん”


「芹沢、俺は─────…」


『トモキ』



不意に、芹沢の声が頭の中をよぎった。

都合のいいときだけ、芹沢の声を利用するなんて。


『トモキ。
大丈夫だから。』


「……っ、」


俺は、不覚にも一筋の涙をこぼす。

そして、ゆっくりと芹沢にキスをした。



芹沢の頬が、少し濡れてしまった。