「何でもねえよ。さ。教室戻んぞ。」



俺は気持ちを切り替えて、来愛の手を握り図書室を出た。




「あ、朝陽くん。」


「ん?」




俺やべ。
後ろ向けない。





「今日は……一緒に帰れる?」




はぁ。



ほんとダメだっつの。




「バ、バスケあるけど、見るか?」



俺は振り返ることなく言った。




「はい」と元気な声が聞こえて
にやける顔を抑えるのが必死だった。