「あら、桐生くんじゃない。
どうした……あ、柊さんね?」



と、補習担当の先生が下駄箱にいた俺に話しかけた。



「あ、こんにちわ。あ、いや、違って。
忘れ物取りに来たんす。」



俺は、来愛に会いに来たとは言わなかった。



もし、先生が来愛に言ってしまったら、
アイツは困った顔をするに決まってる。


それなら、俺は、我慢だ。


アイツのあの時のような顔は見たくない。

笑った顔が見たいんだ。



補習が終わった時
俺の前でどんな顔で笑ってくれるんだろうか。