芳ばしい香りが漂うコーヒーショップは、たまの贅沢に、美菜や鈴音と訪れる。
キャラメルラテを飾っていたホイップクリームは、すっかり溶け込んでしまった。
「ねえ、美菜はどう思う?」
そう聞くと、向かい側に座っている美菜は天井を仰いだ。
「ありえない」
「だよね……」
ぬるくなったキャラメルラテをすする。
つい今しがた、昨日の出来事を美菜と鈴音に打ち明けた。
『じゃあ、また明日ね』
昨夜あたしを抱きしめた雄平は、あたしの唇に触れることなく、そう言って微笑み、離れて行った。
あんなに近くにいて、体をぴったりくっつけて、それでもそれ以上踏み込んでこなかった雄平が何を考えているのか、あたしにはわからない。
あたしに魅力がないのか、それとも何か理由があるのか。
その疑問は、美菜や鈴音にもお手上げの様子だ。