「今日も公園のとこまで送っていくよ」
電車を降りて改札を出たところで、雄平はあたしの手を取る。
今日の放課後は、雄平と一緒に過ごした。
本屋とCDショップを回り、お茶をしてきたところだ。
日が長くなってきたとはいえ、18時を回ればもう暗い。
駅を出てあたしの家の方向へ歩くと、大きな公園がある。
夜は人目につきにくく、安全の観点から、特に女の子は一人で通らないように言われている。
本当はそこを突っ切れば家まですぐなので、雄平は帰りが遅くなった時、その公園の出口まで送ってくれるのだ。
「今日は付き合ってくれてありがとな。CD、今度杏奈にも貸すから」
「うん」
雄平はお目当てのCDを手に入れて、ご機嫌だ。
あたしは例によって生返事。
辺りに人影はない。
普通の恋人達は、こんな時にキスをするのかもしれない。



