でもやっぱり恥ずかしくて、続ける言葉を考えていると、
「杏奈の方がかわいいよ」
さらり、というか、ぽろり、というか、雄平の口から言葉がこぼれた。
次の瞬間、雄平自身も驚いたのか、慌て始める。
「あ……今のは、ええと」
「う、うん。わかってる。えっと、ありがとう。お世辞でもうれしい」
そう言うと、雄平はもっと慌てた。
「ちょ、ちょっと待て。それは違う」
突如、腕を掴まれる。
至近距離に、雄平の顔。
いつになく真剣な目をしている。
「ちゃんと言ったことなかったけど、この際だから言うよ」
雄平につられて、ごくり、と唾を飲む。
「杏奈は、美人だよ。で、俺は杏奈の顔、すげぇ好き」
もちろん顔だけじゃないけど、と雄平はおまけのように付け加える。



