「俺、余裕ないよな……」
余裕、か。
あたしも、ないよ。
「俺、杏奈のこと、中一の時からずっと好きだったから……。やっと付き合えたのが、なんか今でも夢みたいなんだよな」
「え!?」
雄平の言葉に、あたしは大きな声を上げてしまう。
だって雄平は今、とんでもないことを口にした。
「……何?」
「だ、だって……中一の時から、好きで、いてくれた……の?」
「言ってなかったっけ」
「聞いてないよ……」
急激に顔が熱くなる。
そんなに前から、あたしのことを好きでいてくれたなんて……。
馬鹿やって、憎まれ口をたたき合っていたのに。
いつの間に?
だって、好きになってもらえる要素が見当たらない。



