「うん、そうだったね……」
雄平のことが好きだと気付いて、でも打ち明けられずに苦しい時間を過ごした。
それは、親友の香織が雄平と付き合っているという噂が流れたせいで。
けれどそれがデマだったと知り、気まずい雰囲気になっていた香織とも和解し、あたしは雄平に告白することを決めたのだ。
バレンタインでは、チョコを渡すのに精一杯で、肝心の告白を忘れてしまったのだけど。
雄平が手の中で缶をもてあそびながら、口を開いた。
「さっき、ごめんな」
唐突すぎて、何のことなのかわからなかった。
けれどすぐに、辞書を巡るあの言い合いのことだと気付く。



