手を振って先に歩いて行く二人の後ろ姿を、雄平と並んで見送る。

嵐が去ったという感じだ。


「ははっ。キャラ濃いなー」


雄平が苦笑するのは、美菜のことか。


「でも、マジでよかったじゃん。良い友達できてさ」

「うん」


今度はからかわれているんじゃないとわかったから、あたしは素直に頷く。


「じゃあ、あたし達も帰ろうか」


そう言って先に歩き始めるけれど、


「……杏奈」


呼ばれて、ああ、そうだ、と思い出す。

東郷先輩のことがあって、雄平が来たんだった。

気分が一気に沈んでいく。


「自販機んとこで、ちょっと話そうか」

「うん……」


それだけ言うと、あたしも雄平もそれ以上口を開くことなく、自動販売機の並ぶ一階へと向かった。