ああ、完璧な受け答えだ。
美菜は本心からそう言ったのだろうけれど。
「美菜ちゃんってかわいいね。今度、僕と遊ぼ?」
「えっ!?」
美菜の顔が瞬時に赤くなり、あたしは先輩の言葉の真意を悟る。
もっとも、からかっているだけで、本気ではないのだろうけれど。
でもあまりにも自然だから、やっぱり東郷先輩は遊んでる人なんだろうなと思った。
これだけの美貌の持ち主だから、言い寄る女も後を絶たないのだろう。
「はい!!喜んで!!」
「こらこら、美菜」
鈴音がつっこむ。
当然だ。
「あはは。君たち、楽しいねぇ」
東郷先輩が楽しそうに笑う。
笑顔はこんなに、無邪気でかわいいのに。
彼こそ、羊の皮をかぶった狼だ。