「同じ学年の、結構人気ある子と付き合ってるんですよ。中学からずっと仲が良くて、卒業前から付き合ってるっていうから、まだホヤホヤのあっつあつです」

「ちょっ……美菜、しゃべりすぎ」


そんな話、東郷先輩に聞かせたくない。

からかわれるネタを提供しているようなものだ。


「へえ……」


東郷先輩は、ニヤリと笑ってみせた。

ああ、ほら。何か企んでる。


「あのぅ……東郷先輩は彼女いるんですか?」


美菜がようやく核心を突いた。

東郷先輩の恋愛事情に興味はないけれど、鳴海先輩と付き合っているという答えを期待していただけに、先輩の反応に注意を向ける。


「どっちだと思う?」

「そりゃあ、先輩はかっこいいから……でも、いなかったらいいなぁって期待してます!」