昼休みに突入した今、一階の売店へ向かうべく、美菜と鈴音と三人で階段を駆け下りていた。
駆け降りて、というのは、美菜のお目当てのチョココロネ争奪戦に参戦しなければならないからだ。
「君たちもチョココロネ?」
東郷先輩の質問に答えたのは、目をハートマークにした美菜。
「ハイ!!東郷先輩もですか?」
いつもの三割増しに愛想の良い笑顔がまぶしい。
「正解」
いつもみたいにパチンと指を鳴らして人差し指で打つような仕草に、美菜が失神しかける。
けれど何とか正気を保って向かうは、戦場。
売店前は既に黒山の人だかりで、美菜は果敢にその中に突進していく。
パックジュースしか買う予定のないあたしと鈴音は、パンの列が落ち着くまで遠巻きに見守っていた。



