誰かのことを、こんなに愛しいと思ったことはない。
抱きしめたい、守ってやりたい、何度だって、好きだと言いたい。
込み上げる温かな感情が、涙を誘う。
それを寸前で飲み込んで、俺は杏奈を真っ直ぐに見た。
俺は、杏奈が好きだ。
でも、今の俺に、想いを伝える資格はない。
だから。
「俺、もっとデカくなるよ」
そう言って笑うと、杏奈もおかしそうに笑って首を傾げる。
いきなり何を言ってるんだって顔だ。
「デカくなるから」
詳しことは、言えないけれど。
俺は大人に、男にならなくてはならない。
強がっている彼女に、ホッと一息つかせてあげられるような、デカい人間にならなければならない。
いつまでも子供のままではいられない。
俺はそれを、伊田杏奈に誓う。



