ふわり、と甘い香りが鼻をくすぐった。
先輩の顔が近い。
相変わらず、かわいい顔してるな。
どぎまぎしながら、目だけは不思議と冷静に観察する。
すべすべの白い肌は、触れると柔らかそうだ。
ピンク色の唇も。
「ねえ、雄ちゃん。あたし、彼氏いないよ」
杏奈に似た目が、上目遣いに俺を見つめる。
女の目だ。
杏奈を、サッカー部のエースを見つめていた目を、思い出す。
「そうなんだ」
俺はその目から視線をはずし、やけのように苺牛乳を飲み干す。
鳴海先輩の目がからかうように俺を追いかけるけれど、気付かないふりをした。
それに焦れたように、先輩が少し声のトーンを落とす。
「雄ちゃん、どう思った?」



