加藤瞳は、教室の後ろの壁に作り付けられたロッカー代わりの棚をかき回している。
「妹に体操服借りるんだって。今日の体育、学年合同だから、友達に借りれなくて」
「ふうん。便利だね、姉妹いるって」
「だねぇ」
相槌を打つと、鳴海先輩はふいに俺を覗き込む。
「ねえ、雄ちゃん。あたしが忘れたらさ、貸してよね」
この人はたまに、いや、結構な頻度で、変なことを言い出す。
天然なのか、冗談なのか、今のところは判断できていない。
「は?男のじゃん。バレバレでどうせ怒られるだろ」
「いいよ、それでも」
そんなこと言って、楽しげに笑う。
「変なやつ」
俺は冗談でけなしてみても、鳴海先輩はニコニコしている。
ほんと、変なやつだ。
美人だけど。



