杏奈がどんな顔をして彼に称賛を送っていたのかを、俺は知らない。
これ以上、見ていられなかった。
杏奈が他の男を見つめ、微笑み合う、たったそれだけのことを見ただけなのに、全力疾走した後みたいに、心臓が悲鳴を上げている。
体中に酸素を送らなければいけないのに、何かが心臓を丸ごと圧迫して、それを妨げているみたいだ。
苛立ちなのか何なのかよくわからない、とにかく汚い感情が、ものすごいエネルギーを持って暴れている。
あいつが、憎い。
これが、嫉妬というものなのか?
やきもちなんて、もっと、生易しいものだと思っていた。
でも実際は違う。
今にも爆発してしまいそうなものが、体中隅々まで広がって、全身を煮えたぎらせている。
奴に対する邪悪な感情に、俺という存在が食いつくされる。



