本人のいない所でネタにするためらいが見事に吹き飛んだところで、仲間内では鉄板の話を披露する。


「やっぱりなー。スイミングでも超問題児。一番ウケたのがさ、プールサイド走り回って滑ってコケた時。そのコケっぷりがすげぇの」


大きく身振りをしながら話し始めると、彼女は続きを促すように頷いてくれる。


「足すくわれたみたいにコケて、尻もちついたんだけど。勢いがついてるからさ、」


俺は、椅子の上に尻だけを残して、両手両足を上げてみせる。

横から見れば、Vの字になっている体勢だ。


「このまんま床の上滑って、プールにダイブ!」


さすがにダイブはして見せられなかったけれど、そこは彼女の想像力でカバーしてもらおう。