「伊田って小学校どこ?」
そう聞くと、訝しげな表情を浮かべながらも、彼女はこの春まで通っていた小学校の名前を答えた。
頭の中で、同じ小学校の知り合いの名前を大慌てでリストアップする。
その中から話題になりそうな派手な奴を見つけ出すと、
「うん、知ってる」
ふわり、と彼女は表情を緩めた。
再び心臓が跳ね上がる。
キツめの目が少し下がって、彼女の印象が柔らかくなる。
ああ、やっぱり笑った顔が見たいな。
腹抱えて、涙が出るくらいに、大爆笑の顔。
「そいつと、スイミングスクールで一緒だったんだ」
言いながら、俺は彼女の隣の席に移動する。
物理的な距離が近付いて、俺の心臓は全力疾走中だ。



