「付き合う前のことをとやかく言いたいんじゃなくて……ただ……気になっちゃって……」


雄平の過去を、少しでも愛したいから。

その前にはまず、知らなければいけないから。


「……ごめん」

「謝らないで!」


雄平の言葉に、思わず声を荒げてしまう。

だって、あたしに悪いようなことを、したと言っているようなものだから。

あたしは震える息を長く吐き、声を抑えて言う。


「……ごめん。謝ってほしいとかじゃなくて。雄平のことを知りたいだけなの」

「うん、わかった。でも……」


でも……?


「謝らなきゃいけないことが、あるんだ」


耳の奥で、血管が脈打つ音が、熱が、やけに生々しく感じられた。