雄平があたしの顔を見て、言葉の続きを待つ。

何のことなのか、見当がつかないのだろう。

放課後におしゃべりをするなんてことは、毎日のようにある。


「その時集まってた中で、その……経験がないのは、誰と誰で……って話」


ほんの一瞬。

見間違いだと言ったらそうなのかと思うほどにごくわずか、雄平の目が泳いだ。

確信に、近付かせないで。

それは虚しい願いだった。

怖くて震えそうな手を組んで耐えながら、


「雄平は、経験が無い方のメンバーには、いなかった……って」


雄平の表情が移り変わって行く様子を見ていられなくて、あたしは手元に視線を落とす。

だって、ごまかそうとしている素振りが見えたりしたら、あたしは失望してしまうから。