汚れた上履きのまま校舎に沿って歩き、中庭の隅のベンチに並んで腰かけた。

空のうんと遠くの方が赤く染まり始めている。

何から話せばいいだろうと思案していると、雄平が消え入るような声で、独り言のようにつぶやいた。


「俺、杏奈を不安にさせてたんだな……」


雄平は、悪くない。

あたしがただ、聞いた話や、誰かの推測に振り回されて、心を擦り減らせていただけだ。

もしもっと早く、傷口が浅いうちに、雄平に直接聞くことができたら、もしかすると、雄平の話を受け入れるだけの気力が残されていたかもしれないのに。


「美菜が聞いたって……。放課後、男子達が集まって、話してたこと」