雄平の胸に顔をうずめたまま、言う。
「キスも、してくれないって、話したの」
「何でそんなこと……!東郷先輩なんかに!」
雄平が、あたしの肩を持って、乱暴に体を離した。
雄平の言いたいことは、わかる。
東郷先輩と、他の男の人と、そんな親密な会話をしていたことを、責めているのだ。
でもあたしは、口を止めない。
「そしたら、“大事にされてるね”って。でも、そのことであたしが不安になったりしてるのも知ってるから、あんなこと言ったんだと思う」
雄平の瞳が、複雑に色を変える。
色んな感情がぶつかり合って、きっと雄平も混乱してる。
「“大事にする”って、どういうこと?」
その瞳の奥に隠されたものを、今日は、見つけることができるだろうか。



