鳴海先輩によると、沙良が一年生に絡んでいるところを目撃し、心配になって見ていると、ひと気のないところに連れて行くので、東郷先輩に知らせたということだった。

そして、あたしも関係していることを察し、彼氏である雄平にも知らせたということか。


「鳴海先輩、ありがとうございました」


あたしが言うのに習って、美菜も頭を下げる。


「……ありがとうございました」


鳴海先輩は知る由もないけれど、美菜は今まで鳴海先輩のことを散々悪く言っていたことで、後ろめたい気分になっているようだ。


「ほっぺ、腫れてるね。保健室行こうか。歩ちゃんも付き合って」


鳴海先輩が美菜の手を取ると、美菜がうろたえた。

そして照れくさそうに、下を向いている。