「どうして、雄平が……」

「あたしが呼んだの。歩ちゃんだけじゃ心もとないから」


鳴海先輩がそう言って、けれどすぐに肩をすくめ、舌を出した。


「でも、ちょっと遅かったね」


無邪気に笑う鳴海先輩の隣で、雄平が、茫然と立ち尽くしていた。

帰るところだったのか、きちんと外靴に履き替えているし、鞄も持っている。

その目はあたしと、東郷先輩を、行ったり来たりしている。

雄平が呼ばれたということは、鳴海先輩は、あたしと雄平が付き合っていることを、やっぱり知っているということになるのかと、あたしは冷静に分析していた。