ちらりと背後を見ると、一年生が何人かいて、こちらの様子をチラチラと伺っていた。
それに気付いた三年生が目配せをして、あたしはすぐ傍の物影に押しやられる。
大丈夫、ここならまだ、何かあれば大声を出せばいい。
リーダーらしき一人が、あたしの正面に立つ。
黒髪で薄化粧の彼女は、一見すると真面目そうで、頭も良さそうだ。
こんな風に、下級生に絡んだりするように見えない。
綺麗な顔立ちをしているのに、目を吊り上げて、台無しだ。
そうさせているのは、他でもないあたしなのだけど。
「東郷君につきまとうの、やめてくれる?」
別に、つきまとっているわけじゃないのに。
むしろ、その逆だ。