触れないこと以外、雄平は、変わらず優しい。
けれど、あたしは真っ直ぐに、雄平を見ることができない。
「杏奈、あのさ……」
雄平が口を開き、しかしすぐに言い淀んだ。
雄平には珍しいことだ。
だから、嫌な予感がする。
「その……東郷先輩と、よく会ってるの?」
ドクン、と心臓の音が一つ大きく鳴る。
あたしが言えずにいることを全て見透かされた気がしたのだ。
でもそんなことは現実にあり得ない。
雄平が何を言おうとしているのか、まだわからないのだ。
落ち着け。
「学校の中で、ばったり会って話すことはあるかな。……なんで?」
嘘はつかない、でも必要以上のことを口にしない、それでも不自然にならないようにと、慎重に言葉を選んだ。



