「美菜、ほんとに何もしてないよね?」
鈴音が確かめるように聞くけれど、美菜は心当たりがないという。
「今度その人見たら教えて。調べてみよう」
「わかった」
鈴音の言葉に、美菜もようやく気持ちが落ち着いてきたようだ。
苦い顔をしながらも頷いた。
けれどそれは、決して他人事ではなかった。
「調子乗ってんじゃねーよ、伊田杏奈」
それはあまりに突然で、すぐに反応することができなかった。
数歩進んで足を止める。
今、確かに自分の名前が囁かれた。
そう認識した瞬間、勢い良く振り返る。
人混みに紛れていたけれど、あたしは確かに、三年生の女子の姿を見た。
彼女達も、ちらりとこちらを振り返って、あたしをにらみつけた。



